ホルモン治療が始まった

7月10日火曜日
 ホルモン治療はY病院で行うという当初の方針通り、この日、投薬が始まった。

 主治医のN医師は「男性ホルモンの分泌を抑える注射と飲み薬を出します。注射は一カ月ごとに」。注射は「リュープリン」というLH-RHアゴニスト。服薬は、抗アンドロゲン剤の「カソデックス」80ミリグラムを朝1錠。いわゆるCAB(combined androgen blockade)療法というポピュラーな治療だ。
 ただ、皮下注射とはいえ、注射はできるだけしたくないので「リュープリンは6カ月製剤もあるようですが、毎月、打たないとダメですか」と聞くと、N医師は「医師としては副作用を見たいので、いきなり、3カ月、6カ月というのは…。それに量も多いですよ」と消極的。とくに「6カ月」というのはY病院ではひごろ、取り扱ってないような雰囲気。確かに一度も打ったことのない注射をいきなり半年分体内に入れるというのは不安もある。それもそうだ、と思い直し、「ではそうします」と返事をした。


 この日にも注射するのだろうな、と思って家を出ただけに注射の日がまた別に決められるというので少し拍子抜け。ただ、カソデックスはこの日から飲むことになったので、癌と診断されて2か月あまり。いくら前立腺癌がゆっくり進行するとはいえ、少々焦り気味だっただけに、投薬だけでも開始されて安心した。注射は20日。再度診察を受けた上、処置室で腹部に打つ、という。


 果たして痛いのか。ウェブでいろいろと調べてみると「知らない間に終わったといってよいぐらい、大したことはなかった」という投稿があり、一安心。確かに「リュープリン 注射 痛い」と検索しても大した文章は出てこない。


 退出間際に「先生、ところで、日常生活で何か避けるべきことはありますか?酒とか筋トレとか大丈夫ですか」と聞く。「問題ないですよ」とN医師。この日はあと、血液検査。すぐに終わって会社に向かった。この日の費用は診察と検査3910円、薬代1400円の合計5310円。ここまで、昨年5月のMRIから合計して16万円ほど(生検からは13万4642円)。病気は高くつく。


 ガンの保険金は無事に入金されていた。請求書の書式を埋めているときに気づいたのだが、ガンになった本人がピンピンしていて、これから治療にお金がかかるというのに「保険金の受取人は妻ですから、妻名義の口座でないとお支払いできません」と保険会社。保険の受取人は普通、夫が死亡したことを想定して妻を指定するもの、と勝手に思っていたから、保険に入る時には何も考えずに妻を指定したのだが、本人が生きていても、妻でないと受け取れないという。ふーん、そういうものか。


 妻に事情を説明して口座を指定してもらった。いつもは明るい妻が小さな声で「分かりました」と言った。「ちょっと、ちょうだーい」と冗談を言われると予想していたので拍子抜け。「大丈夫だよ」と励ます。とはいえ、まあ、癌だから。サイレントキラーなので。頑張って、せめて75歳までは元気でいたいなあ。一緒に旅行にも連れて行ってやりたい。昔住んでいたNYの家を見に行きたい。
 

 保険会社の説明通り、書類が保険会社に到着後、5日以内に振り込まれた。生検は手術と見なされず、その費用が支払われないことは分かっていたが、3日分の入院給付はちゃんと出た。検査と差額ベッド代の3分の1程度だが、ありがたかった。

 とにかく、これからお金がかかる。いつもはアバウトな僕がこれからしっかり癌治療の予算を立て、管理していかないといけない。

投稿者: otokonobyouki

前立腺がん発症時57歳。PSAの値がじりじりと上昇したにもかかわらず生検から逃げ回ったのがたたり、T2cの診断。男性機能喪失と尿漏れを避けるために陽子線照射で治療した。その記録と、若い頃から次々とできてきた尿道結石、ESWLの記録。

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