2019年2月14日木曜日
最後の陽子線照射が終わった。管理区域の廊下から固定照射室に入る時、ほとんど毎日顔を合わせていた技師さんが「いよいよ、きょうで最後ですね」と声をかけてくれた。もうこの部屋に入ることはないんだ、と一歩一歩をかみしめながら歩く。クランク状になっている廊下。脱いだズボンを入れるかご、紙パンツ。そのすべてが感慨深い。もう体の横に黒いマジックで描かれた十文字ラインが消えようと、関係ない。
いつものように1分半程度の照射が終わると「長い間、お疲れ様でしたね」と技師さんが体を起こしてくれた。「ありがとうございました」と頭を下げ、彼と握手をした。寛解、完治に向けて、あとは自分でできることをするのみ。「Inspire the Next」と書かれた日立製の陽子線の固定照射器の文字を目に刻みつけて部屋を出た。
21回使ったロッカーにも一礼した。入退室の白いカードをかざして管理区域を出るともう、ここには戻れない。看護師さんにお礼を言い、外に出た。検査用トイレで尿の勢いを測る。尿量84.8㎖、最大尿流率19.3㎖/秒。尿量はちょっと少ないが勢いはよさそうだ。機械から吐き出されたこの数値が印刷された紙を持って外来診察室に行く。きょうは、なんと、主治医のH医師が体調不良で休み。代わりに女性のH医師と看護師のNさんが今後について説明をしてくれた。
まず先日の血液検査の結果を見せてくれる。PSAは0.037ng/㎖。5ヶ月間のホルモン治療終了後が0.18だった(最終の6ヶ月終了後の数値はまだ知らされていないので。)ことを考えると、この陽子線の照射でさらに下がったことになる。ただ、この数値が基準になるわけではなさそうだ。
「このあと、ホルモン治療の効果が徐々に薄れ、男性ホルモンの力が戻ってくると、PSAの数値は上がります。その上がったところを基準として、これから観察していきましょう」とH医師。
これから予想される後遺症として、①2週間程度すると頻尿になり、一月ほどすると、回復してくる②膀胱や尿道が粘膜炎を起こして血尿になる③便潜血、肛門の痛みがある④股関節周囲に痛みがあるーなどがあるかもしれないという。個人差があり、ひどい場合は受診すべし。フォローアップは来月に行う最初のチェックアップ以降は3年経過するまでは3ヶ月ごと。5年までは半年ごと。血液検査によるPSA監視はY病院でする、ことなどを確認した。5年経過してやっと寛解ということだ。完治は?さあ。10年なのか。
てっきり、これで市立陽子線センターには来ないものだと思っていたので少しうれしい気もした。そういえば、N看護師に「お酒はあとひと月、我慢してください」と言われて「えええええええ!」と驚きの声を上げてしまった。「いやいや、きょう、もう飲む気満々です」と声を出すと「もちろん、それで病気が悪化するわけではありません。ですが、尿道などが炎症を起こしておしっこが出なくなる人もいます。若い年齢ほど、陽子線があたって傷ついた尿道を治す力が強いので、アルコールが響きます」と。
まあ、そうなのだろう。酷いとカテーテルを尿道から突っ込んでおしっこを出すようだ。それはかなわない。だが、買ってきたドンペリはきょう、飲む。その後、節制すればいいや。
この日を境に、いろんなことをリセットしようと思う。違う自分になる、というのはちょっと違うが、後悔のない生き方をしていく。まず、ホルモン剤でよりふやけてしまった体を引き締める。パーソナルトレーニングにいく。看護師さんは「女性ホルモンがまだ強いので普段よりも体重の減りは遅いかもしれません」と教えてくれた。そうなんだ。でも、行こう。これからはブログにそうした記述もしていこうと思う。次の診察は26日、久しぶりにY病院に行く。再発とはどういうことか。どうなれば完治、寛解なのか。これから何を食えばよいのか。聞きたいことはまだまだある。