2019年8月8日午後2時すぎ
いよいよESWL(体外衝撃波結石破砕術)のために機械の設置してある地下へ向かう。業務用のエレベーターに乗るとすぐに到着した。目の前に「破砕室」の大きな扉。上には「使用中」のランプが点灯している。だれか前の患者がいるのかと思ったら扉が開いた。「俺のことか‥」。
部屋は20畳ぐらいあろうか。中央に破砕装置。右手にガラス張りの操作室がある。「こんにちは」とさわやかなA医師が挨拶をしてくれる。担当看護師のOさんが装置に横たわってね、と声をかけてくれる。
破砕装置はこんな感じ。ネットから拝借してきた。ドイツ製ドルニエ・deltaⅢという昨年改良版が出たばかりのハイパワータイプ。(写真はdeltaⅡだが、外観はほぼ同じ)
ベッド部分を取り外すと、こんな感じになる。上の円筒形のものがレントゲン。
中央のアームから伸びる丸い部分から衝撃波が出る。写真は下から上に向かって発射する感じだが、今回は骨に衝撃波を当てたくない、というA医師の意向でおなかからこれを当てて照射した。
室内は冷房が効いていて結構寒い。Tシャツと短パンで横たわったのでバスタオルを多めにかけてもらう。照射する左腰の部分はちょうどベッドに穴が開いているようになっていてそこに照射部位が来るように位置を合わせた。さらに、反対の右の腰の下に分厚いゴムを入れて体を傾け、照射部位にゼリーを塗り込み、この丸い部分を体に押しつけられる。「ああ、いい感じですー」と若いA医師。「バッチリ」。
「前の装置はそんなに『痛い』という人はいませんでしたが、こいつは痛いようです」とA医師。「でも、痛かったらいつでも鎮痛剤を入れますから、言ってくださいね」。
左手に10分おきに自動で測る血圧計。右には輸液の点滴。Oさんでなく、医師のAさんがシリコンのカニューレを静脈に刺したのには驚いた。「看護師さんの方がうまいんだよなあ、こういうのは」と思っていたら意外にも上手だった。ここから最悪、鎮痛剤を投入してくれる。
「では、始めますね」とA医師。「あの、先生。これってだんだん強くなるんですよね?」と聞く。「あ、そうです。最初はそれほど強くありませんから」。壁の時計を見ると午後2時25分。3時25分には終わっているんだ、と言い聞かせて覚悟を決める。
室内には気を紛らわせるためか地元FM局の放送が流れてきた。全然興味のない洋楽。ま、いいか、と思っていると始まった。「パチン、パチン」という音とともに、衝撃波がおなかに響く。この音はどう表現したものか、と考える。「プラスチックの板を金槌で叩いている感じ?」。こもっているわけではなくて甲高い訳でもない。とにかく、1時間、すなわち、3600秒に3300回、照射する。
横にいる看護師Oさんが「最大の痛みを10だとすると、いまはどれぐらいですか?」と聞く。「え?まだゼロですよ」と答える。こんなもんで終わるわけない。そう思っていると音が一瞬止まり、すぐに再開する。それがパワーアップの印。衝撃は強くなったが、まだ痛いというほどではない。
10分ぐらい経過すると再びパワーアップ。よく、引っ張ったゴムをパチンと皮膚に当てる感覚、と例える人がいるが、ちょっと違うと思う。ゴムだと皮膚表面が痛いが、この装置は違う。もちろん、表面もちょっとは痛いが、衝撃は内臓にズンズンとくる。どんどんとパワーが上がる。
30分経過するころには「10のうち、7か8の痛み」になる。腎臓が痛い。尿管に詰まった石で腎臓が腫れて痛くなるのと同じ感覚。こりゃ我慢できない。「ちょっと鎮痛剤を入れてもらえますか?」。
あとで診療明細を確認するとソセゴンとあった。よく結石の発作で使われるペンタジン。あれは確かに効く。これを点滴に入れてくれたおかげで「7、8の痛みは5ぐらい」に軽減された。もっとも、それでも痛い。一刻も早く終わってほしい。「最大どれぐらいのパワーになって、いまいくつぐらいですか?」と聞く。「最大8で、いま6ぐらいです」。うーん、まだあと2段階あるのか。
どんどんと内臓が痛くなってくる。時計とにらめっこする。こんなに遅い5分は生まれて初めてだ。
あと10分もある、と思った時、「終わりましたよ-」とA医師の声。いやあ、ほっとした。「割れた感じですか?」と聞く。「画像がモヤモヤとしているので、割れたと思います。でも、問題は割れ方ですから。きちんと出るよう祈るだけです」。そうですな。
装置が体から外される。自分で起き上がる。おへその横が赤くなっている。ここに集中砲火されたんだなあ。迎えに来てくれたMさんが押す車椅子で部屋に帰る。おー、痛かった。
だれだ?ウトウトするって言ったのは。
少なくとも、最新鋭deltaⅢは痛い!
「その代わり、割れる確率は高いはずです」とA医師。そうかもしれないが、痛い!